やっと書けますよ。
先週の金曜日にアテクシが受けた仕打ちをね。

そりゃもう酷いものでありんした。
アテクシ初めて「この病院には人の心を持たぬ悪代官がいる」と心底震え上がりました。

順を追って説明しましょう。
まず悪夢のような生検がようやく終わった頃でした。
これでようやくCT検査が受けられると、僕はむしろ喜んでさえいました。
だってCT検査なんて痛みなく体の中のがんを調べられる、素晴らしい機械じゃないですか。
造影剤の注射なんて可愛いものですよ。
地獄の生検に比べればはるかにましです。

で、正座してCT検査を待ってたんですが、いくら待てどもお呼びがかからない。そのうち持病の癌性疼痛から来る右足の激痛に襲われましてね。最初は「ちょうど検査する部位が痛み出した。検査はかどる~ラッキー」くらいに思ってたんですが、この痛みがとてつもなく痛い上に、何度頓服の点滴のボタンを押しても引かないくらい長い痛みでしてね。

うーうーベッドの上で苦しんでる最中にようやく検査の知らせが来たんです。そこからはどうやって検査室まで移動したか定かじゃないんですが、朦朧とした意識の中では若い女性看護師に若い男性看護師も混ざって移動式ベッドに載せてくれて、一人の女性看護師なんて僕の体をさすりながら「痛いねー。大丈夫だよ」と励ましながら移動式ベッドを押してくれる優しさ。

アテクシこの時は本当に感動して、この病院にも白衣の天使がいたんだあ、と真面目に病院への寄付を考えたほどでした。実際はそんな余裕ないけどね、テヘペロ。

で、CTの順番が来て優しい天使ともお別れ、男技師やドクターばかりの殺伐とした世界に放り込まれた訳ですが……「⚪⚪さん、この態勢は辛い?」突如技師だかドクターだかが、ようやく右向きにCTの台に上がったばかりのアテクシの両足をグイグイっと縦に伸ばして話しかけてくる。

当然激痛。

僕も「あいででで。痛いっす」と、どこかでお前そのセリフまんま言ってたぞ、的なデジャビュの香りを嗅ぎながら答えます。

「あ、そう。じゃあこれは?」男性、今度は少しだけ僕の両足を持ち上げる。
「あ、それなら何とか……でも痛いかな?」僕が応えると、男性は、
「じゃあこれで行ってみよう」と、突如拘束具のようなものでアテクシの両足をぐるぐる固定し出しました!
しかもその拘束の位置は最初の激痛を感じた場所よりも、はるかに高い位置!
はるかにはるかに高い位置で拘束拘束されたアテクシ、痛い痛いどころではないアルよ(分かってくれます?この僕の痛み)

これじゃまるで江戸時代の拷問じゃないですか。
僕も思わず、「いでぇえええええ。助けてくれえええ、お代官さまああああ。」的なことを現代風に叫んだのですが、お代官様は平然と、
「我々にも時間の制約があるんですよ。今日はCTはいっぱいなんです。それに⚪⚪さんはこの態勢が一番よく撮影できるのですから、我慢してください。斬」

最後に格好よく「斬」と決めたかは薄れゆく意識の中で、はっきりとは思い出せません。

しかしこの時僕は確実に、この病院には魔物が棲んでいると感じ、それがゆえに今まで語れなかった理由です。

嘘か本当か、信じる信じないはあなた次第。